ふんふーん🎵今日も配当性向を見て高配当株投資ー🎵
・・・だけどいい会社ないなぁ。。。
ん?配当性向だけ見てるんか?
え、うん。
だって、株主への還元って配当だけでしょ?
いや、実は「自社株買い」っていう方法もあるねん。
最近注目されてる、自社株買いも含めた「総還元性向」について解説したろ。
今回は高配当株投資にからめて、総還元性向について解説します。
配当性向と併せて学ぶことで、財務分析の基礎知識も学べますので、ぜひ最後まで御覧ください。
公認会計士歴10年以上、日商簿記1級ホルダーのワタシ、まおすけがわかりやすく解説します。
(念の為、合格証書も載せておきますね)
総還元性向の概要
まず総還元性向の概要を載せておきます。
意味 | 自社株買いも含めて、どれだけ株主に利益を還元しているか |
---|---|
計算式 | (配当金+自社株買いの金額) ÷ 当期純利益×100(%) |
見方 | 数値が多いほど、株主に多く利益を還元している (ただし後述しますが、数値が大きいほどいいわけではないです) |
算出に必要な決算書と項目 | 損益計算書(P/L):当期純利益 株主資本等変動計算書(S/S):剰余金の配当、自己株式の取得 |
英名 | Total propensity to reduce |
これでわかった!という人は、この先を見る必要はありません。
もうちょい知りたいな!という人は続きをどうぞ。
総還元性向の計算式
総還元性向の計算式は、
(配当金+自社株買いの金額) ÷ 当期純利益 × 100
です。
配当性向の式と似てるんだけど、「自社株買い」ってなんぞ。。。
まあ、そうなるわな。
株主に利益を還元するための方法やねん。
理由も含めて説明したろ。
自社株買いとは
自社株買いとは、
会社が株主が持っている株式を買取ること
です。
株主は株式を持っています。この株式、実は発行している会社が買い取ることもできます。これを「自社株買い」といいます。
この「自社株買い」は、株主に利益を還元する方法の一つと言われてます。
自社株買いが株主のためになる理由は、4つあるので順に解説します。
1.一株あたりの価値(株価)が上がる
どんなモノでもそうですが、モノの値段は需給関係で決まります。
要は、
- 市場に出回っている数が少ない→値段が上がる
- 市場に出回っている数が多い→値段が下がる
という関係です。これは株式にも当てはまります。
皆さんが買える株式は、証券市場に出回っています。
その市場に出回っている株式を自社株買いとして会社が買うと、当然ですが、市場に出回る株式の数が少なくなります。
すると、
うおお、あの会社の株式が欲しいのにレア化してる!
ちょっとくらいお金を多く出してもいいから、なんとかして買うぜ!!!
となって、市場での一株あたりの価値(株価)が上がります。もしあなたが株主なら、持っている株式の価値が何もしてないのに上がります。
株主に直接お金が入ってくるわけではないですが、株主の持っている資産の価値が上がる、という意味で株主還元になるんです。
2.株価が割安というアナウンスになる
自社株買いは、自社の株式を購入することです。
どんなモノでもそうですが、何かを購入する時に割高な値段で買いたくないですよね?それは自社株買いでも同じです。
ここでちょっと考えてほしいんですが、自分のことは自分が一番わかってるはずですよね?つまり、自社株式の本当の価値も会社が一番わかってるはずです。
そこで会社が、
自分で自分の株式を買います!
って言ったら、
え、自分で買うってことは、もしかしてあの会社の株式っていま割安なのか!?
うおおおおおお、今のうちに買うぜ!!!!
となり、人気が出て株価が上がるんです(アナウンスメント効果といいます)。
すると、株主が持っている株式の価値が何もしてないのに上がります。
これも株主に直接お金が入ってくるわけではないですが、株主の持っている資産の価値が上がる、という意味で株主還元になるんです。
3.財務指標がよくなる
自社株買いは、財務指標の数値が良くなります。代表例は以下の3つです。
- 自己資本利益率(ROE)
- 株価収益率(PER)
- 株価純資産倍率(PBR)
上記3つの指標は、どれも「発行済株式」が関係する指標です。
詳細な説明は長くなるので割愛しますが、自社株買いをすると、この「発行済株式」が減ります。するとこれらの指標が良く見えて、株価が上がります。
1.2.の理由と同じく、株主に直接お金が入ってくるわけではないですが、株主の持っている資産の価値が上がる、という意味で株主還元になります。
「漢字とかアルファベットばっか並んでて、意味わかんねーよ!」っていう人は、以下の記事で指標の勉強してくださいね。
4.買取代金が株主のもとに渡る
最後は単純ですが、株主の持ち物(株式)を会社買い取るので、当然株主にお金が渡ります。
もちろん、買い取られた側は株主ではなくなってしまいますが、株主にお金(会社の利益)が還元されるという意味で、これも株主還元になります。
以上、自社株買いが株主還元になる理由をまとめると、以下のとおりです。
次は総還元性向の計算例を解説するで!
総還元性向の計算例
改めて、総還元性向の計算式を復習しましょう。コレです。
(配当金+自社株買いの金額) ÷ 当期純利益 × 100(%)
例えば、
- 当期純利益:1,000万円
- 配当金額:400万円
- 自社株買いの金額:100万円
という会社があった場合、総還元性向の計算はこうなります。
(400万円+100万円) ÷ 1,000万円 × 100 = 50%
総還元性向が高い会社は、配当と自社株買いを含めて、利益のうちの多くを株主に還元している、ということを意味します。
ただ、気をつけたいのは、総還元性向はあくまで会社の姿勢だということです。
要は、
うちは利益が出たら、株主にいっぱい配るんだ!
という会社なら、総還元性向は高くなりますし、逆なら低くなるということです。
それと、総還元性向は大小だけで優劣が決まらないので、気をつけてください。
極端な話、1円しか利益が出てなくても、その1円を株主に還元していたら、総還元性向は100%になるのです。
え、でもやっぱり高配当株投資やるなら、とにかく総還元性向って高い方がいいんでしょ?
だって利益が出ても、配らないなら意味ないもん。
残念、一概にそうとも言えんのよ。
配当性向と同じやねんけど、もう一度解説したろ。
総還元性向が高ければよいとは限らない
総還元性向は、高ければ高いほどよいというわけではありません。
理由は、以下の2つです。
- 総還元性向が高すぎると、倒産、減配のリスクがある。
- 総還元性向が高い会社は、一般的に成長の余地が少ない
順に解説します。
倒産、減配のリスクがある
総還元性向が高いということは、利益、ひいてはお金を会社に残さないということです。するとどうなるか。
単純な話、倒産のリスクが高くなります。
会社が潰れるときは、お金がなくなったときです。
総還元性向が高い、つまり利益を株主に配りまくる会社は倒産リスクが高くなるのです。
また、倒産まで行かなくても、
こんなに利益から株主に配ってたら、会社が潰れる!!
となってしまったら、会社は配当金として配る額を減らします。
これを「減配」と言います。
もし高配当株投資をやるなら、「倒産」と「減配」は全力で避けたいことです。
総還元性向だけ見て、ひたすら総還元性向が高い会社に投資するのは避けた方が良いです。
総還元性向が高い会社は、一般的に成長の余地が少ない
総還元性向が高い、つまり利益を株主に配りまくる会社ってどんな会社かわかりますか❓
答えは、
成長の余地が少ない会社
です。
成長している会社は配当なんかせずに利益を溜め込んで、他の事業に投資して会社自体を更に成長させます。
その方が最終的に持っている株の価値自体が上がって、配当するより株主の価値が増えるからです。
逆に、総還元性向が高い=利益を配当で出しまくる会社は、そういった成長する機会がないから、株主にお金を配りまくるのです。
成長しない、株主に還元もしない、では株主がブチギレますからね。
成長しない会社は、いずれ衰退していく可能性があります。
高配当株投資をするにあたっては、その会社がずっと株主に還元をし続けてくれるのか、別の指標も使って分析していく必要があります。
うーむ、そうか。
配当性向だけじゃなく、総還元性向も見れば会社の姿勢がわかるんだね。
ちなみに、総還元性向に目安はないの?
一律の目安はないけど、資料があるから目安を解説したるわ。
総還元性向の目安
総還元性向の平均については、生命保険協会が資料を出してくれてますので見てみましょう。コレです。
(出典:平成 29 年度 生命保険協会調査 株式価値向上に向けた取り組みについて)
コレを見ると、総還元性向の平均値は
- 国内企業→40%~50%
- 米国企業→100%
あたりが目安となります。
また、最近は日本でも株主還元の雰囲気が高まっていますが、米国に比べるとまだまだ差があります。
なお、総還元性向が100%を越えると、今年の利益以上にお金を株主に還元している、ということを意味します。
「今までに貯めたお金も」使って、身を削りまくってプレゼントをしているということです。
ちょっと無理しすぎですよね。なので、
総還元性向が高すぎる会社に多額の投資をしてはダメ
これは、しっかり覚えておいてください。
高配当株投資で総還元性向と一緒に確認すべき指標
高配当株投資をするなら、いろんな指標を見る必要がありますが、安全性分析を併せて行うと有用です。
安全性分析とは、一言で言うと
起業が潰れないかを分析すること
です。一番怖いのは、会社が倒産して配当がゼロになることですからね。
主な指標は以下のとおりです。それぞれの詳細な説明はリンク先を参照してください。
この中でも、個人的には自己資本比率は最重要だと思ってます。
高配当株投資をするなら、安全性分析も行うとより効果的な分析となります。
総還元性向のまとめ
むう、株主還元は配当だけじゃないのか。
そやねん。
「株主還元=配当」って思ってると、良い企業を見落とすこともあるから、今後は注意してみるとええわ。
おーけー、わかったよ!
ということで、総還元性向のまとめです。
- 「(配当金額+自社株買いの金額) ÷ 当期純利益 × 100」 で計算される。
- 当期の利益から、配当金と自社株買いをいくら行ったかの割合である。
- 高いほど、株牛還元の意識が高い会社である。
- ただし、高ければ高いほどいいという指標ではない。
- 高配当株投資をするなら、他の指標も組み合わせる必要がある。
今回は総還元性向の説明をしました。
高配株投資をする場合の重要指標ですので、この記事で概要をしっかり把握しておいてくださいね。
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