お、この会社めっちゃ利益出てる!
よし、この会社の株を買おう。
ちょっと待て。利益の額だけ見たら失敗するかもしれんで。
ROA(総資産利益率)は見たか?
ROA(総資産利益率)?
持ってる資産を効率よく使って儲けてるかを見る指標や。
説明したろ。
今回は財務分析の中の収益性分析の基礎として、ROA(総資産利益率)の説明です。
会社が持っているお金を効率的に使って利益を出しているか見る指標で、株式投資をする場合ほぼ100%と言ってもいいほど出てきます。
公認会計士歴10年以上、日商簿記1級ホルダーのワタシ、まおすけがわかりやすく解説します。
(念の為、合格証書も載せておきますね)
ROA(総資産利益率)の概要
指標分類 | 収益性(いかに効率よく利益を稼いでいるか) |
---|---|
意味 | 持っているお金を効率よく使って利益を出しているか |
計算式 |
(下の式は派生形です) |
見方 | 数値が多いほど、効率よく利益を出している |
算出に必要な決算書と項目 | 貸借対照表(B/S):総資産(=負債+純資産) 損益計算書(P/L):当期純利益 |
英名 | Return On Asset(略してROA) |
これでわかった!という人は、この先を見る必要はありません。
もうちょい知りたいな!という人は続きをどうぞ。
自己資本と当期純利益の意味
ROAの計算式は、
です。
(もう少し変形した式もあるので、あとで説明します)
ただ、そもそも「当期純利益」と「総資産」の意味がわからないと指標の意味が理解できないので、説明します。
総資産とは
総資産とは、
です。
総資産はB/S(貸借対照表)でいうと、この部分です。
お金そのものはもちろん、土地や建物等の不動産や、在庫(棚卸資産)、有価証券、誰かへの貸付金など、全ての資産が含まれます。
当期純利益とは
当期純利益とは、
です。最終利益とも言われます。
損益計算書(P/L)では、一番下に表示されます。
売上から費用や税金などを引いて、純粋に会社に残る利益、と思ってください。
(詳細は、この記事を参照してください)
総資産と当期純利益がわかったところで、ROAの説明に入るで!
ROA(総資産利益率)の計算式
ROAの計算式は、
です。
これが意味するのは、
です。
つまり、ROAは「会社の資産をどれだけ効率的に使えているか」ということを表す指標です。
仮に利益の額が大きくても、ROAが低ければその会社は自分の資産を効率的に使えていない、ということを意味します。
文字ばっかで疲れた!計算例教えてよ!
よし。簡単やし、サクッとやろか。
ROA(総資産利益率)の計算例
当期純利益:100
の会社があったとします。
ROAの計算は、
となります。
ROAの計算はわかったよ。
じゃあ、ROAを高めるのはどうやったらいいの?
実はこの式、変形もできるねん。
それも併せて教えたろ。
ROA(総資産利益率)の計算式の派生
ROAの大元の計算式は、
当期純利益 ÷ 総資産 ×100 (%)
です。
この式で、分母と分子に「売上高」を噛ませて専門用語で言い換えると、
となります。
売上高純利益率、総資産回転率はそれぞれが財務指標ですが、
めんどくさいので説明は割愛します。
この式の読み方としては、以下のとおりです。
ROAを高めたかったら、
- 売上高純利益率を高める
- 総資産回転率を高める
とよい。
ふーん、とにかくROAが高けりゃいいんだよね。
でも、どれくらいだったらいいとか、目安はないの?
よし、じゃあ次はROAの目安を紹介したろ。
ROA(総資産利益率)の目安
一口にROAと言っても、業界によって構造が違うため、異なる業種で比較するのは難しいです。
例えば、IT業界であればPCと頭脳さえあれば仕事ができるので総資産は低くなりがちですが、
大規模な設備が必要な製造業などであれば総資産は多くなります。
そのため、ROAは自分が属している産業の平均と比較すると良いです。
2019年時点の産業別のROA平均値は、以下のとおりです。
業種 | ROA |
---|---|
鉱業、採石業、砂利採取業 | 2% |
製造業 | 4% |
電気・ガス業 | 1% |
卸売業 | 4% |
小売業 | 3% |
物品賃貸業 | 1% |
学術研究、専門・技術サービス業 | 2% |
飲食サービス業 | 4% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 3% |
サービス業(その他のサービス業) | 11% |
(出典:経済産業省 2019年企業活動基本調査速報)
あれ、意外に数値が低いね。こんなもんなの?
総資産はかなり大きな金額やから、ROAの数値は低くなりがちやねん。
OK、わかった。じゃあこれからはこの数値を目安にして、ガンガンROAを分析して株を買うよ。
ちょい待て。ROAだけを使うのはちょっと危ないで。
説明したろ。
ROA(総資産利益率)が高ければよいとは限らない
ROAは計算に総資産、つまり「負債+純資産」を使います。
純資産がなくても、負債、つまり借金をして利益を効率よく生み出せばROAは高くなります。
しかし負債だらけの会社は、すこし業績が傾くと借金が返せず倒産してしまいます。
ROAだけを見てその会社の良し悪しを決めると、少し危ないのです。
ROAだけじゃダメなのか。。。じゃあ、どうすればいいのさ?
安全性分析を併せてするとええで。
軽く解説したろ。
ROAとともに活用したい安全性分析
安全性分析とは、一言で言うと
です。
主な指標は以下のとおりです。
それぞれの詳細な説明はリンク先を参照してください。
ROAで分析をする場合は、安全性分析も行うとより効果的な分析となります。
ROA(総資産利益率)のまとめ
少ないお金で効率よく儲ける企業は優秀ってことだね。
そやな。
ただROAが高いだけやと、知らんうちに会社が倒産してた、ってことになるかもしれんから、気をつけや。
はーい。
今回はROA(総資産利益率)の説明をしました。
株式投資をする場合、ほぼ100%といっていいほど出てくる指標ですので、この記事で概要をしっかり把握しておいてください。
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