【公認会計士が解説】ROE(自己資本利益率)とは?意味、計算式、目安、ROAとの違い~収益性分析~

収益性分析
ヘタレモンスター

ねーねー、実は上場会社の株を買おうと思ってるんだけど、どの会社がいいのかわからなくて。
なんかヒントない?

まおすけ

なら、とりあえずROE(自己資本利益率)を見たらどや?

ヘタレモンスター

ROE(自己資本利益率)

まおすけ

株主のお金で効率よく儲けてるか見る指標やな。
説明したろ。

この記事のメリット
ROE(自己資本利益率)の

  • 意味がわかる
  • 計算方法がわかる
  • 目安がわかる
  • ROA(総資本利益率)との違いがわかる
  • 注意点がわかる

こんな人におすすめ

  • 企業の決算書が読めるようになりたい
  • 会社の財務分析がしたい
  • 会社が効率的に稼いでいるかを知りたい

今回は財務分析の中の収益性分析の基礎として、ROE(自己資本利益率)の説明です。

会社が株主のお金を効率的に使って利益を出しているか見る指標で、株式投資をする場合ほぼ100%と言ってもいいほど出てきます。

この記事で内容を理解してください。

まおすけ

公認会計士歴10年以上、日商簿記1級ホルダーのワタシ、まおすけがわかりやすく解説します。

(念の為、合格証書も載せておきますね)

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ROE(自己資本利益率)の概要

指標分類収益性(いかに効率よく利益を稼いでいるか)
意味株主のお金で効率よく利益を出しているか
計算式
  • 当期純利益 ÷ 自己資本
  • 1株あたり当期純利益 ÷ 1株あたり株主資本
  • 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ

(下2つの式は派生形です)

見方数値が多いほど、効率よく利益を出している
算出に必要な決算書と項目貸借対照表(B/S):自己資本(純資産ー新株予約権ー非支配株主持分)
損益計算書(P/L):当期純利益
英名Return On Equity(略してROE)

これでわかった!という人は、この先を見る必要はありません。

もうちょい知りたいな!という人は続きをどうぞ。

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自己資本と当期純利益の意味

ROEの計算式は、

当期純利益 ÷ 自己資本 ×100 (%)

です。
(もう少し変形した式もあるので、あとで説明します)

ただ、そもそも当期純利益と自己資本の意味がわかってないとこの指標の意味が理解できないので、サラッと説明しときます。

自己資本とは

自己資本とは、

会社に蓄積されている株主のお金

です。

自己資本はB/S(貸借対照表)でいうと、この部分です。

自己資本は正確には「純資産ー新株予約権ー非支配株主持分」と計算します。
説明めんどくさい細かくなりすぎるので説明は割愛しますが、普通の会社なら「純資産」と同額になります

自己資本分のお金は会社の中にとどまっており、
会社はそのお金を元に投資をして事業を行っています。

法律の細かいはすっ飛ばしますが、
会社がなくなった場合、最終的に自己資本部分のお金は株主に戻ります。

当期純利益とは

そして当期純利益とは、

株主に帰属する利益

です。

損益計算書(P/L)では、一番下に表示されます。

当期純利益は最終利益とも言われ、
1年間で生まれた当期純利益の金額は自己資本に加算されます。

さっき、自己資本は株主の取り分という説明をしましたよね?

なので、当期純利益が出るほど株主の取り分が増えます。
(逆に当期純利益が赤字なら、株主の取り分は減ります)

法律上、会社は株主のものなので、会社が利益を出せばそれは株主の取り分になるのです。

まおすけ

ざっくり自己資本と当期純利益がわかったところで、ROEの説明に入るで!

ROE(自己資本利益率)とは

ROEの計算式は、

当期純利益 ÷ 自己資本 ×100 (%)

です。

これが意味するのは、

どれだけ効率よく自己資本(会社にとどまってる株主のお金)を使って、当期純利益(株主に帰属する利益)を生み出しているか

です(長くてすみません)。

つまり、ROEは「株主のお金をどれだけ効率的に使えているか」ということを表しています。

かつてROEは「株主資本利益率」と呼ばれることもありましたが、今は「自己資本利益率」が正しい名称です。
ヘタレモンスター

文字ばっかで疲れた!計算例教えてよ!

まおすけ

簡単やし、見せるまでもないけどなぁ。
じゃあ、サクッとやろか。

ROE(自己資本利益率)の計算例

自己資本1,000
当期純利益:100

の会社があったとします。

ROEの計算は、

当期純利益100 ÷ 自己資本1,000 × 100 = 10%

となります。

ヘタレモンスター

え、計算これだけ?

まおすけ

うん、こんだけ。超簡単やろ?

ヘタレモンスター

えー、ちょっと簡単すぎるなー。もうちょっと何かあるでしょー?

まおすけ

ああん?じゃあ、発展形を教えたるわ。
聞いて脳みそパンクして死ね。

ヘタレモンスター

ひえっ。

ROE(自己資本利益率)の計算式の派生

ROEの大元の計算式は、

当期純利益 ÷ 自己資本 ×100 (%)

です。

これを元に2つの派生型の式を紹介します。

1.発行済株式数を噛ませる

当期純利益 ÷ 自己資本 ×100 (%)

の式で、分母に「発行済株式数」を噛ませて、それぞれを専門用語で言い換えると

1株あたりの利益(EPS) ÷ 1株あたりの株主資本(BPS) × 100(%)

となります。

(発行済株式数の意味は各自でググってね!)

1株あたりの利益(EPS) と 1株あたりの株主資本(BPS)もそれぞれが財務分析の指標ですが、
説明が細かくなりすぎるので細かい説明は割愛します。

2.売上高と総資産を噛ませる

当期純利益 ÷ 自己資本 ×100 (%)
の式で、分母と分子に「売上高」と「総資産」を噛ませて専門用語で言い換えると、

売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ × 100(%)

となります。

売上高純利益率、総資産回転率、財務レバレッジは、それぞれが財務指標ですが、
めんどくさいので説明は割愛します。

この式の読み方としては、以下のとおりです。

ROEを高めたかったら、

  • 売上高純利益率を高める
  • 総資産回転率を高める
  • 財務レバレッジを高める

とよい。

ヘタレモンスター

す、すみませんでした。脳みそパンクしました。。。

まおすけ

ほれみろ。まあでも、よく見る分解式やから、こんなのあったなぁくらいで覚えとき。
じゃあ次は脳みそ休めるために、ROEの目安を紹介したろ。

ROE(自己資本利益率)の目安

一口にROEと言っても、業界によって構造が違うため、ROEは自分が属している産業の平均と比較すると良いです。

2019年時点の産業別のROE平均値は、以下のとおりです。

産業ROE
鉱業、採石業、砂利採取業3%
製造業8%
電気・ガス業6%
情報通信業10%
卸売業11%
小売業7%
クレジットカード業、割賦金融業3%
物品賃貸業9%
学術研究、専門・技術サービス業5%
飲食サービス業8%
生活関連サービス業、娯楽業7%
個人教授所8%
サービス業(その他のサービス業)19%
合計9%

(注)純資産と当期純利益を用いて簡便的に計算しています。

(出典:経済産業省 2019年企業活動基本調査速報)

ヘタレモンスター

じゃあ、株を買う場合はとにかくROEが高い会社の株をガンガン買えばいいね!

まおすけ

いや、ちょっと待て。実はROEには落とし穴もあるから、そこも解説したろ。

ROE(自己資本利益率)が高ければよいとは限らない

実は、ROEは結構簡単に数値を変えることができます。

節税対策のために当期純利益を小さくすると、ROEは低くなります。
また、逆にROEを高く見せるために、自己資本を減らすこともできます。
例えば、「自社株買い」をして自己資本を減らすのはよくある手法です。

自社株買いというのは、会社に溜め込んでいる自己資本の一部を株主に返して、自己資本を減らすことです

それと、純資産ではなく「負債」つまり借金を元手にして事業を行っている場合もROEは高く見えます。

ROEだけを見てその会社の良し悪しを決めるのは、少し危険なのです。

ヘタレモンスター

ROEだけじゃダメなのか。。。じゃあ、どうすればいいのさ?

まおすけ

ROA(総資産利益率)っていうのもあるから、併せてこれを見るとええで。

ROEとともに活用したいROA(総資産利益率)

ROEの短所を補うための指標として、ROA(Return on Assets, 総資産利益率)があります。

ROAの計算式は以下のとおりです。

ROA = 当期純利益 ÷ (負債+純資産) ×100 (%)
「負債+純資産=総資産」です

ROEと同じように利益を効率よく生み出しているかを示す指標ですが、
自己資本だけでなく、負債も含めて計算をします

負債も含めているため、借金の多い企業を見抜くことができます。

ROEを見て分析をする場合は、ROAも併せて確認するとより効果的な分析が行えます。

ROE(自己資本利益率)のまとめ

ヘタレモンスター

少ないお金で効率よく儲ける企業は優秀ってことだね。

まおすけ

そや。ただ、借金だらけの会社もROEが高く見えるから注意が必要やで。

ヘタレモンスター

わかった!じゃあ、気をつけて株買うよ!
ところでさー。「株」って野菜だよね?なんで利益と株が関係あるの?美味しいほうが儲かるってこと?

まおすけ

そこから理解してないんかい!おまんはROEの前にもうちょい基礎を勉強してこい!

今回はROE(自己資本利益率)の説明をしました。

株式投資をする場合、ほぼ100%といっていいほど出てくる指標ですので、
この記事で内容を理解してもらえたら嬉しいです。

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