ねーねー、こないだB/Sについて教えてもらったけど、もうちょい見方を教えてくれない?
そやなぁ、そしたら今日は当座比率について教えたろ。
流動比率に似てるんやけど、さらにシビアに見たのが当座比率や。
今回は財務分析の中の安全性分析の基礎として、当座比率の解説です。
似た比率で流動比率というものもありますが、その比率とは少し違います。
公認会計士歴10年以上、日商簿記1級ホルダーのワタシ、まおすけがわかりやすく解説します。
(念の為、合格証書も載せておきますね)
その他の安全性指標について知りたい人は、こちらの記事をどうぞ。
▶【会計士が解説】安全性分析とは?重要な5つの指標を解説~財務分析の基礎~
当座比率の概要
最初に当座比率の概要を載せておきます。
指標分類 | 安全性(いかに会社がつぶれにくいか) |
---|---|
意味 | 流動比率よりさらに短期の支払い能力を示す指標 |
計算式 | (当座資産 ÷ 流動負債)× 100 (%) |
見方 | 数値が多いほど、安全性が高い |
目安 | 優良:150%以上 安全:100%以上 危険:70%未満 |
算出に必要な決算書と項目 | 貸借対照表(B/S):当座資産、流動負債 |
もしこれで、わかった!という人は、この先を読む必要はありません。
これ見て「???」な人は続きをどうぞ。
当座比率とは
当座比率とは、
です。
この比率が高いほど、支払い能力が高く、逆に低いほど支払い能力が低いことを意味します。
うーん、文字だけだとわかりにくいなぁ。
どうやって計算するか教えてくれない?
よし、説明したろ。
当座比率について
当座比率の計算式
当座比率は、
で計算されます。
当座資産と流動負債とは、
- 当座資産→流動資産のうち「現金及び預金」「受取手形」「売掛金」「売買目的有価証券」など
- 流動負債→1年以内に支払う予定があるもの
です。
BSで見ると下記の図の部分で計算をします。
つまり、当座比率は
当座資産と、1年内に支払い予定のものの比率を計算したものです。
当座比率が
- 100%超→当座資産で流動負債を全て支払える
- 100%未満→当座資産で流動負債を全て支えない
ということを意味します。
つまり当座比率が100%を超えていれば、流動負債はすぐに支払えるのでその会社は倒産しにくい、ということを意味します。
当座資産って聞いたことないけど何なの?
流動資産の中でも、さらに現金に近いものに絞った資産や。
説明したろ。
当座資産とは
当座資産とは、
流動資産は、1年以内に現金になる予定のものです。
しかし流動資産の中には、すぐに現金にならないものも含まれます。
そこで、流動資産の中でもさらに換金性が高いものをよりすぐって、「当座資産」と名付けたのです。
- 現金預金(現金そのもの)
- 売掛金(1~2ヶ月以内に現金になることが多い)
- 受取手形(1~2ヶ月以内に現金になることが多い)
- 売買目的有価証券(上場株式等が多く、市場ですぐに売れる)
- 棚卸資産(いつ売れるかわからない)
- その他(いつ換金できるかわからない)
元々「流動資産」があるのに、なんで当座資産を使って計算するの?
流動資産には弱点があるからやな。既にチラっと説明したけど、改めて説明したろ。
当座比率が生まれた理由
会社の支払能力を見る指標には、流動比率という指標もあります。
これは「流動資産 ÷ 流動負債」で計算されますが、流動資産の中には、すぐにお金にならない資産が含まれます。
代表例は、
です。
流動資産は基本的に1年以内に現金化されますが、在庫はいつ売れるか、つまり現金化するかわかりません。
つまり、流動資産には換金性が低いものも含まれるので、実際の支払い能力はもっと低い可能性があります。
そのため、流動資産ではなく、当座資産を使った指標(当座比率)が生まれたのです。
当座比率の計算例
例えば当座資産1,500、流動負債1,000の会社があったとします。
当座比率の計算は、
となります。
計算式の覚え方
財務分析の計算をする際、9割以上の人が計算式を忘れます。
特に、どっちが分子でどっちが分母だっけ?的な悩みは尽きません。
(筆者の受験時代もそうでした)
よい覚え方があります。
当座比率に限らず、B/Sの資産と負債で分析をする場合は、
と覚えてください。
当座比率でいえば、左にある数値は当座資産、右にある数値は流動負債なので、
です。
「ひだり わる みぎ!」
で頭に叩き込んでおいてください。
計算するのはいいんだけど、どれくらいの数字になったらいいの?
よし、じゃあ次は目安を教えたろ。
当座比率の目安
当座比率の目安は一般的に
- 優良水準:150%以上
- 安全水準:100%以上
- 危険水準:70%未満
と言われています。
え、じゃあ当座比率70%を割ったらその会社潰れるの?
いや、これも流動比率と同じやねんけど、当座比率はあくまで目安や。
それと、注意点もあるねん。説明したろ。
当座比率の注意点
当座比率の注意点は以下の2つです。
- 当座資産の中でも換金性が低いものがある
- 貸借対照表は一時点のもの
順に解説します。
当座資産の中でも換金性が低いものがある
当座資産は、換金性が高い資産です。
しかし、そんな当座資産の中でも、すぐにお金にならない資産が含まれます。
例えば、
- 焦げ付いたツケ(売掛金)
- 不渡りになった手形(受取手形)
つまり、当座資産の中でもすぐにお金にならない可能性があるものも含まれるので、
実際の支払い能力はもっと低い可能性があります。
換金性が高いものを選んでるのに、結局中身を見ないとダメなの・・・?
そこは財務分析の限界や。どうしても科目の名前だけで見て分析するからな。
ただ一応、注意する必要はある、ってくらいは覚えといたらええで。
貸借対照表は一時点のもの
貸借対照表はあくまで一時点を切り取った状態です。
切り取ったその時にたまたま当座比率が良くても、
違う時点で切り取ったら危ないときがあるかもしれません。
これは、季節的な要因で売上が増減する会社によくあります。
例えばビール会社では、夏の売上は絶好調ですが、冬の売上はヤバいことになります。
こういった時に、当座比率の見た目は増減します。
どの時点で切り取るかによって見え方が変わるということは、留意しておく必要があります。
(なおこの留意点は、流動比率も全く同じです。)
当座比率のまとめ
冒頭にも載せましたが、ここまで説明した当座比率の項目をまとめます。
指標分類 | 安全性(いかに会社がつぶれにくいか) |
---|---|
意味 | 流動比率よりさらに短期の支払い能力を示す指標 |
計算式 | 当座資産 ÷ 流動負債 |
見方 | 数値が多いほど、安全性が高い |
目安 | 優良:150%以上 安全:100%以上 危険:70%未満 |
算出に必要な決算書と項目 | 貸借対照表(B/S):当座資産、流動負債 |
流動比率より、ちょっとわかりにくいね。
そやねん。BSをパッと見てわかる指標じゃないからな。
とはいえ、よく使われる指標やからちゃんと内容は覚えときや。
はーい。
今回は、
- 当座比率の意味
- 当座比率の計算方法
- 当座比率の目安
- 当座比率の注意点
- 当座比率と流動比率の違い
を解説しました!
流動比率と同じく、超ポピュラーな指標なので、是非覚えておいてください!
この記事があなたのスキルアップのお役に立てると嬉しいです。
その他の安全性指標について知りたい人は、こちらの記事をどうぞ。
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