【公認会計士が解説】損益分岐点とは?意味、計算式、公式、メリット、改善方法を解説~収益性分析~

収益性分析
ヘタレモンスター

ねーねー、まおすけー。
損益分岐点って言葉聞いたんだけど、一体何なの?

まおすけ

言葉どおり、「損益」が「分岐」する「点」やな。
ってだけ言ってもわからんやろから、説明したろ。

【この記事のメリット】
  • 損益分岐点が何かわかる
  • 変動費と固定費が何かわかる
  • 損益分岐点の計算式、公式がわかる
  • 損益分岐点の計算例がわかる
  • 損益分岐点のメリットがわかる
  • 損益分岐点の改善方法がわかる
【こんな人におすすめ】
  • 会社がどれだけ売上げをあげたら利益が出るか知りたい
  • 会社の分析をしたい会社が効率的に稼いでいるかを知りたい

会社には、これ以上の売上があったら利益が出る、という点があり、
これを損益分岐点と言います。

今回は収益性分析の一環として、この損益分岐点について解説します。

まおすけ

公認会計士歴10年以上、日商簿記1級ホルダーのワタシ、まおすけがわかりやすく解説します。

(念の為、合格証書も載せておきますね)

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損益分岐点とは

損益分岐点とは、一言でいうと

売上と費用が一致する点

言い換えると、

利益がゼロになる点

です。

結論を図に表すとこんな感じです。

(これ見て「OK、わかった!」っていう人は、これ以上見る必要はありません。)

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ヘタレモンスター

はい、わかりません。意味不明。
この話しゅーりょー。

まおすけ

ちょっと待て!ちゃんとイチから解説したるから!
まず変動費と固定費を理解するとこからやで。

変動費と固定費とは

損益分岐点を理解するには、まず費用を

  • 変動費
  • 固定費

に分解して理解する必要があります。

それぞれ順に説明します。

変動費とは

変動費とは、

売上数量とともに増減する費用

です。
横軸を売上数量、縦軸を金額にして図に表すとこんな感じです。

つまり

  • 売上数量が増えれば、変動費も増える
  • 売上数量が減れば、変動費も減る

といった動きになります。

変動費の代表例は、

材料費、光熱費、外注費、運賃、

です。

「売上ー変動費」で出てきた利益を「貢献利益」と言います。
この貢献利益がマイナスだったら、どれだけ売上が増えても変動費がそれ以上に増えるので、絶対に利益が出ないことを意味します。
こんな状態になったら、その事業は即撤退です。
ヘタレモンスター

あー、なるほど。
ラーメン作るときの、スープの原材料とかガス代ってことか。

まおすけ

お、ちょっとわかってきたな!
じゃあ、次は固定費を説明するで!

固定費とは

固定費とは、

売上数量に関係なく一定の費用

です。

図に表すとこんな感じです。

売上が増えようが減ろうが一定額が発生します。

固定費の代表例は、

家賃、正社員の固定給部分、支払利息

などです。

今月は売上がなかったので、家賃はなし、なんてことはできませんよね。

これが固定費です。

段階的に上がっていく「準固定費」という費用もあります。
例えば、売上が上がるたびに補充するパート代などです。一定のところまでは定額なのですが、一定のところでポンと上がります。
図に表すとこんな感じです。

ただ、分析の際はややこしくなるので、変動費 or 固定費のどちらかに入れてしまうことが多いです。

損益分岐点の図解

変動費と固定費がわかったところで、損益分岐点を図解します。

費用は「変動費+固定費」でしたよね?
これをグラフに表すとこんなグラフになります。


そして、売上をこのグラフに重ねます。

(重ねると・・・)

売上も変動費と同じく、数量が多くなるほど金額が増えますが、
金額の増え方は、変動費の増え方より大きいです。
(もし売上の増え方が変動費以下だったら、どう頑張っても利益が出ません)

この売上と費用の線が交わるところが損益分岐点です。

ヘタレモンスター

えーと、なんとなく意味はわかったんだけど、結局どうやって計算するの?

まおすけ

よし、簡単な計算例を解説したろ。

損益分岐点の計算例

以下の条件で、損益分岐点の売上数量を出してください。

売上単価が@1,000円
変動費の単価が@400円
固定費が30,000円

損益分岐点は「売上=費用となる点」です。

つまり、求めたい売上数量をXとすると、以下のように求められます。

売上=費用

売上=変動費+固定費

1,000X=400X+30,000

X=500

図に表すとこんな感じです。

つまりこの例で言うと、売上数量が500を超えると売上の方が費用より大きくなって利益が出て、
それ以下だと赤字ということを意味します。

損益分岐点の公式

損益分岐点は公式化することもできます。

公式は、

売上=固定費÷(1-変動費率)

です。

意味がわからないと思うので、順に解説します。

まず、「変動費率」という単語を知る必要があります。

変動費の増え方は売上に対して、例えば30%とか、50%とか、一定の比率になります。
この比率を、「変動費率」といいます。

先程の解説した計算例でいうと、@400÷@1,000=40%が変動費率です。

つまり、

変動費 = 売上高 × 変動費率

になります。
変動費率が40%なら、売上が1,000なら変動費が400になるということです。

これを使って公式化します。

損益分岐点は

損益分岐点売上=変動費+固定費

となる点です。
変動費率を使うと、

損益分岐点売上=(損益分岐点売上×変動費率)+固定費

となります。

この式を整理すると、

損益分岐点売上 ー(損益分岐点売上×変動費率)=固定費

損益分岐点売上 ×(1-変動費率)=固定費

損益分岐点売上=固定費÷(1-変動費率)

となります。

一回一回考えて計算することも大切ですが、めんどくさいときはサクッと公式に当てはめてしまうととても計算が楽にできます。

ヘタレモンスター

損益分岐点を計算するとなんかいいことあるの?

まおすけ

一言でいうと、目標がわかるってことやな。

軽く解説したろ。

損益分岐点を計算するメリット

損益分岐点を計算するメリットは、ズバリ

利益を出すための具体的な施策が立てやすくなる

ことです。

人間、目標がわかると、そこに向けた具体的な施策を考えるようになります。

今5,000万円しか売上がない状態で、そこから6,000万円を目指せばいいのか、1億円を目指すのかでやることが変わることもあります。

6,000万円を目指すなら、既存の製品を改良すればいいだけかもしれません。
1億円を目指すなら、新メニューの開発をしないとダメかもしれません。

また、売上がどうしようもないなら、変動費を下げたり固定費を下げる施策を考える必要があるかもしれません。

このように、利益を出すために何をすればよいかの方針がわかる、というのが最大のメリットです。

損益分岐点の改善方法

当然ですが、損益分岐点は低いほどよいです。
その方が低い売上でも利益が出やすいからです。

損益分岐点を下げる方法は大きく2つです。

  • 変動費を下げる
  • 固定費を下げる

それぞれ、どうやって改善すればよいかを説明します。

変動費を下げるには?

正確には変動費を下げるというより、変動費率を下げることになります。
つまり、

  • 交渉して材料の単価を下げる
  • 使用する材料を見直して安いものにする
  • 交渉して外注単価を下げる
  • 外注先を変更する

といった具合です。

変動費を下げることを図で表すとこんな感じです。

もちろん、コストカットしすぎて売上に響いてしまえば意味がありませんので、
やりすぎには注意が必要です。

固定費を下げるには?

固定費を下げるには、

  • 家賃交渉をして家賃を下げてもらう
  • 効率化して人員を削減する
  • 外注の活用
  • いらない設備の除却

などの方法があります。

固定費を下げるのは、図で表すとこんな感じです。

固定費を下げるのは、事業構造に関わる部分が多いので、
大胆な意思決定が必要になることが多いです。

損益分岐点のまとめ

ヘタレモンスター

なるほど、費用を変動費と固定費に分けるのがポイントだね。

まおすけ

そやな。
実際は完全に変動費と固定費を分けるのは難しいんやけど、目安にするには十分な考え方や。
色々と分析して試してみるとええで。

ヘタレモンスター
 
今回は、

はーい。

  • 損益分岐点とは何か
  • 変動費と固定費とは何か
  • 損益分岐点の計算式、公式
  • 損益分岐点の計算例
  • 損益分岐点のメリット
  • 損益分岐点の改善方法

を解説しました。

非常にポピュラーな分析方法なので、この記事で基礎を理解しておいてください。

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