ねーねー、まおすけー。
ん、なんや?
とりあえず、株にお金突っ込もうと思うんだけど、なんか教えてー。
丸投げすぎる。
◯ね。出直してこい。
ご、ごめんなさい。
じゃあ、何でもいいので株式投資に役立つ指標を教えて下さい。。。
・・・しゃーないな。
じゃあ、今日は一株あたり純資産(PBS)の解説したろ。
会社が安定してるかを見る指標やで。
公認会計士歴10年以上、日商簿記1級ホルダーのワタシ、まおすけがわかりやすく解説します。
(念の為、合格証書も載せておきますね)
一株あたり純資産(BPS)の概要
指標分類 | 安全性(企業がつぶれにくいかどうか) |
---|---|
意味 | ・株主にとって、1株あたりの純資産 ・会社が解散した際の一株あたりの金額(解散価値) |
計算式 | 純資産 ÷ 発行済株式総数 |
見方 | 数値が高いほど安全 (ただし企業間で比較してもあまり意味はない) |
算出に必要な決算書と項目 | 貸借対照表(B/S):純資産 その他:発行済株式総数 (発行済株式総数は、財務諸表には出てこないので、別資料で確認する必要があります) |
英名 | Bookvalue Per Share(略してBPS) |
これでわかった!という人は、この先を見る必要はありません。
もうちょい知りたいな!という人は続きをどうぞ。
一株当たり純資産(BPS)の計算式
一株当たり純資産(BPS)の計算式は、
純資産 ÷ 発行済株式総数 × 100 (%)
です。
ただ、そもそも「純資産」と「発行済株式総数」の意味がわからないと指標の意味が理解できないので、説明します。
ちょっと難しいかもしれないですが、色んな考え方の基礎になるのでしっかり理解してください。
純資産とは
純資産とは、
- 返さなくてよいお金
または、 - 会社をたたむ場合の株主の取り分
を意味します。それぞれ簡単に解説します。
返さなくてよいお金
会社には大きく、返さないといけない資金調達と、返さなくてもよい資金調達があります。
前者を「負債」、後者を「純資産」と言います。
負債や純資産は、貸借対照表(B/S)にまとめて載っています。貸借対照表とは下記のようなものです。
ここで詳しく説明すると長くなってしまうので、詳細は以下の記事を見てください。
ここでは、純資産は返さなくてもよいお金、ということを理解してもらえれば大丈夫です。
会社をたたむ場合の株主の取り分
法律上、会社をたたむ場合(倒産や解散をする場合)、以下のような流れになります。
- 会社に残っている資産を、全て売ってお金にする
- 会社に残っている負債を、全て支払う
- 株式の数に応じて、残ったお金を株主に返す(「残余財産の分配」と言います)
実はこの流れ、貸借対照表(B/S)を見るとよく分かります。以下の図を見てください。
つまり、理論上は会社が潰れても、純資産の金額は残って株主に返されるんです。
(実際は資産の金額がそのままお金になるわけではないので、あくまで理論上ですが)
次は発行済株式総数について解説するで!
発行済株式総数とは
発行済株式総数とは、一言で言うのは難しいんですが、
会社の権利を分割した数
のことです。
会社の権利とは、「資産」や「負債」はもちろん、「純資産」も全て含みます。
会社を100分割したら100株、1,000分割したら1,000株の株式を発行して、誰かに持ってもらうことになります。
例えば、もし発行済株式総数が5株で自分が1株持ってたら、会社を
1株÷5株=20%持っている
ということです。その会社の20%はあなたのものです。所有権に応じて会社の重要な意思決定を行えたり配当をもらえたりします。
ちなみに、先程チラッと解説した「残余財産の分配」も、この株式の割合によって行われます。
法律上の概念的な話なので、会社全体の権利を分割した数なんだなー、くらいに思っておいてください。
株式投資では「株式」を買いますが、それは実は、会社の権利を買うということなんです。つまり、会社のオーナーになることです。
なので「株式」を買うと、「利益」「資産」「負債」などの権利を、買った数に比例して持つことができます。
ちょっと前置きが長くなったけど、次は本チャンの一株当たり純資産(BPS)の説明をするで!
一株当たり純資産(BPS)の意味と計算
では改めて、一株当たり純資産(BPS)の計算式を見てみましょう。
純資産 ÷ 発行済株式総数 × 100
この式が意味するのは、
株主の、一株当たりの純資産
ひいては、
会社が解散した場合、手元に戻ってくる一株あたりの金額
です。
見方としては単純に、「多ければ多いほどいい」と思って貰えればOKです。
一株当たり純資産が多いほど純資産が多い、つまり返さなくよいお金が多いので、安定性が高い会社であるということです。逆だと、安定性が低いと見られまます。
また、会社が解散した場合に返ってくるお金は、1円でも多い方が良いです。
簡単な計算例を見てみます。
- 純資産:200万円
- 発行済株式総数:100株
の会社があったとします。
すると、一株当たり純資産(BPS)の計算は、
200万円 ÷ 100株 = 2万円
となります。
・・・で、この計算された「2万円」っていう数字を見てどうすればいいのさ?
お、いい質問やな。実は、この数字を単独で見てもあまり意味ないねん。
それも含めて、次は活用の仕方を教えたろ。
一株当たり純資産(BPS)の活用法
一株当たり純資産(BPS)の活用方法は、大きく分けて以下の2つです。
- 推移を見て安定して企業が成長しているかを確認する
- 株価純資産倍率(PBR)を計算する際に活用する
推移を見て安定して企業が成長しているかを確認する
一株当たり純資産(BPS)は、単独で見てもあまり意味はありません。推移を見る必要があります。
例えば、
うちの一株当たり純資産(BPS)は、今年10万円です!
って言われても、「で?」って感じですよね。それよりも、
うちの一株あたり当期純利益(EPS)は、去年5万円で、今年は10万円です!
って言われたら、「おお、伸びてる!」ってなりますよね。
極端な話、一株あたり純資産(BPS)が伸びてたら、会社経営はそれでOKとも言われます。会社のオーナーである株主にしっかり価値をもたらしている、ということだからです。
一株当たり純資産(BPS)は、単独で見てもあまり意味はありません。推移を見て意味があるのです。
株価純資産倍率(PBR)を計算する際に活用する
一株当たり純資産(BPS)は、株価純資産倍率(PBR)を計算する際に使います。
当たり前ですが、株式投資をする場合に株価は超重要です。
その株価を一株当たり純資産(BPS)で割ると、株価純資産倍率(PBR)という指標が計算できます。数式は以下のとおりです。
株価純資産倍率(PBR) = 株価 ÷ 一株当たり純資産(BPS)
たとえば、こんな会社があったとします。
- 株価:2万円
- 一株当たり純資産(BPS):1万円
すると株価純資産倍率(PBR)は、2万円 ÷1万円=2倍となります。
これが意味するのは、
会社が倒産したら、株価(投資資金)の1/2のお金しか返ってこない
ということです。図にするとこういう感じです。
つまりこの株に投資して、ちゃんとお金が返ってくるかどうかの判断指標になるんです。
株価純資産倍率(PBR)の詳細は、以下の記事も参考にしてください。
この指標を見るときの注意点とかないの?
いくつかあるから、そこも説明したろ。
一株当たり純資産(BPS)を見るときの注意点
一株当たり純資産(BPS)を見るときの注意意点があります。それは、
- 増減の理由をちゃんと見る
- 異なる企業間で比較しても、それほど意味がない
- あくまで純資産は簿価(理論上の金額)である
順に解説します。
増減の理由をちゃんと見る
計算式を見てもらえればわかるのですが、一株当たり純資産(BPS)は、分子の純資産が増減するだけでなく、分母の発行済株式総数が増減した場合も動きます。
分母の発行済株式総数は、例えば以下のような要因で増減します。
- 増資、株式分割 → 増える
- 自社株買い、株式併合 → 減る
つまり、一株あたり純資産(BPS)は単純に会社の純資産が多くなれば上がるものではないということです。
一株あたり純資産(BPS)を見る場合は推移が大事ですが、その推移も、なぜ増減したのかをしっかり確認する必要があるので注意してください。
異なる企業間で比較しても、それほど意味がない
一株あたり純資産(BPS)は、異なる企業間で比較して大小を見てもあまり意味はありません。
例えば、以下の2つの会社であれば、どちらが良いといえるでしょうか?
- A社:純資産100,000,000円 ÷ 発行済株式総数 100,000,000株 =BPS 1円
- B社:純資産100,000円 ÷ 発行済株式総数 1株 =BPS 100,000円
一株あたり純資産(BPS)はB社の方が多いです。
でも、純資産を見てください。B社10万円に対して、A社が1億円です。
なぜ一株あたり純資産(BPS)が違うかというと、発行済株式総数の違いです。発行済株式総数は、会社の業績とは関係なく会社の資本政策によって決まります。
そのため、異なる企業間で一株あたり純資産(BPS)を比較してもあまり意味はないのです。
あくまで純資産は簿価(理論上の金額)である
一株あたり純資産(BPS)で使用する純資産は、あくまで帳簿上の価格です。
下記の図で、純資産は「会社をたたむ場合の株主の取り分」を意味すると説明しましたが、それは①で資産が帳簿価格そのままで売却できる、ということを前提にしています。
しかし実は、実際に売却する際は帳簿価格とは差が出ます。
特に固定資産の簿価は減価償却で計算されますが、実際の売却価格とは大きく差が出ることが一般的です。
一株あたり純資産(BPS)を計算する際は、この観点も持っておいてください。
「帳簿価格とか減価償却とか、よくわからない!」という人は、ぜひ簿記を勉強してください。
一株当たり純資産(BPS)のまとめ
うーん、なんかわかったようなわからないような。。。
まあ、この指標単独で見るというより、株価純資産倍率(BPS)と併せて見ることが多いかな。
でも、重要なことに変わりはないし、内容はしっかり理解しときや!
はーい、わかりましたー。
今回は一株当たり純資産(BPS)の説明をしました。要点をまとめると、以下のとおりです。
- 「純資産 ÷ 発行済株式総数 × 100」で計算する。
- 会社の安全性を判断する指標である。
- 推移を見て、良い悪いを判断する(他企業と比べてもあまり意味はない)
- 株価純資産倍率(PBR)を計算する際に使う。
- 増減を見るときは、なぜ増減したのかをちゃんと見る。
- あくまで理論上の金額(簿価)なので、その点を留意する。
株式投資をする場合、ほぼ100%といっていいほど出てくる指標ですので、この記事でしっかり内容把握しておいてくださいね。
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